和道流空手
和道流の特徴
和道流空手道の特徴を一言で表現するなら、
従来の空手にはなかった「流す」「乗る」などの考え方にあるといえる。
すなわち、「流す」とは、読んで字のごとく、
相手にしかけられた技に対して決して逆らうことなく、力で受け止めず、
体のさばきによって流し、攻撃に転ずることをいう。というよりも、
むしろ相手の技を流した動作がすでに攻撃になっているのである。
「乗る」とは、相手の攻撃してきた突きに対して、
同時に相手の突きに乗りながら離れず突き攻撃することをいう。
これらは力で対決せず、体でさばき、相手の力を利用して
攻撃するということである。いいかえれば"防御即攻撃"ということだ。
また、流祖・大塚博紀最高師範がよく教示されていた。
「型と形」の相違、「大きい業と無駄な業」「速い業と細かい業」などにも、
和道流空手道の特徴はいいつくされていると思う。
まず「型と形」の相違。「型」とは鋳物の型であり、
固定してしまって何の変化もできないが、「形」は生きた形であり、
相手によって自由に変化できる。つまり、相手からどのような技を
しかけられるかわからないのに、それに変化対応できない「型」では
まったく通用しないということだ。
次に「速い業と細かい業」。和道流の技は細かいとよくいわれるが、
これは無駄がなく、余分な力を使用せず合理的に「業」を使うので
細かく見えるのであり、そして最短距離から「業」が出るので「速い業」となるのである。
「大きい業と無駄な業」とは、大きく業を使えば見た目には大変立派で見ばえもするが、
実戦ではまったくスピードもなく「無駄な業」としかいいようがないということだ。
その他、基本の突き、蹴り、「平安」の形はもちろんのこと、
特に基本組手の10本には、和道流空手道の真髄があますところなく包含されている。
そうしたものは、突き、蹴り、形、基本組手などを十分反復練習することによって、
おのずと自得できるものである。
練習の心得
<基本の突き蹴り>
手で突く、足で蹴ると思わず、体と一体となって突き、蹴りを行うという心構えで練習する。
また、基本の突き、蹴りがしっかり修得できていないと、形や組手でも
不十分となるので、まず基本をしっかり身につけることが大切である。
<形>
つねに次のようなことを念頭に置いて練習する。
1.最初は順序を正確に学ぶ
2.次に形の意味をよく理解する
3.前後左右に適を仮想して行動し、力の強弱、緩急を会得する
4.形の中から、自己に適した攻防の技をつかみ、組手に生かす
<基本組手>
基本組手は相対形であるが、間合いを正確にとり、正しく突き、蹴りを行い、
体さばきの呼吸法を学ぶ。
空手道は、競技化の進展とともに国民体育、近代武道として
幅広く普及してきたが、その精神的支柱である「和と礼と節」を忘れるような
ことがあってはならない。空手道の本来の目的は、人格向上を目標として、
社会・学生生活の中にそれを生かすことにある。
和道流全国大会
和道流全国大会の組手試合はメンホー着用の3本(6ポイント)勝負、
全日本空手道連盟のルール規定と和道流連盟申合せによって行われる。
98年度の大会では連盟内にとどまらず、全日本空手道連盟の
国際審判員を招いて大会を進行するなどの試みも見られ、公平さが増した。
強豪チームといえば日本大学であろう。他の勢力に大きく水を開けており
日大勢に胸を貸りる形となっている。
大塚博紀最高師範は「勝った負けたよりも自分の悔いのない
戦いをすることが、結果として勝ちにつながる。和の精神を忘れずに、
試合において自分の技に活かされるようにして欲しい。人に後ろ指を
さされないような態度で臨んで欲しい。」とコメントを残す場面が見られた。